やまいもの浮気
耐えられることを並べて
だれかに問いただしても
「今はわからない」
そう答えるだろう たぶん
美しいとは言えずに汚すぎることもない
日々の生活のなかでかたちだけ増えていく
すべて選んで残るのは
溢れすぎている白い退屈
帰り来る人たちもみな 静かに横になる
目の前のことをやっつけ
当たり前に集まって
少し息をする
思い出すように そっと
目の前にない景色の色を知ろうとするとき
しおさいのような香りを求めてさまよう
なんでもあって なにもない
その意味を知るあなたへ贈る
作るまでもなく手の中に
木々の知らせ 花の種が それだけがすべて
https://soundcloud.com/user-65813922/zo904gjddtzd
薄氷
陽に照らされて逃げる雪解け水
だらしなく開いた雨戸みてる
靴音に期待するのは夢まぼろし
今はもう帰らぬ あの日の影
後悔なんてしていないさ
冷たく白くなって消えてしまうだけ
時計の針はまた一日が終わることを知らせる
思い出す、耳元にあった気配
五月は青い山も白く染まり
降り立つまでの間 途方にくれる
いつかは消えてくれることを
願うことさえも、ままならない気がしている
都会の夜は騒々しくて
目を覚ますけれど
綺麗な氷の粒が窓に落ちた
https://soundcloud.com/user-65813922/uufdkjdnzitj
まなざし
雨が塗りつぶす ひとりの夜に
傘の色は最後まで 海の青色
淋しさ育ちのわたしに
あなたがくれたものはたったひとつ
夢の中ほほえむおぼろげな幻
扉をあけてみれば さびしげなリズムで
わたしは最初からここに居たらよかった
これから旅立つあなたに私ができることは
かなたに消えたまなざしに光る 真珠をさがして
https://soundcloud.com/user-65813922/ffkgoipsxihi
灯
眺めている窓の色と同じ色で
夜になれば青ざめた顔にまぎれ
流れ着くものすべてを手にとっては
必要なことが何かわからなくなった
遠く聞こえるよ 鳥の声
わたしは一人待っているのに
生まれた日のやさしい木々のなか
光が君の身体を照らしだすと
ついこのまえ暑かった日を思い出す
空虚な明りが部屋を満たしだすと
目に映ったものすべて 問いかけてくる
今までの間あなたにしたためた
手紙はすべて燃やして
そうしてできた やさしく灯る火よ
https://soundcloud.com/user-65813922/blrpd38qxxum
おに
寂れた通りのかたすみで
夢を見ていた つかの間の
“忘れてゆく時だけが花”
耳を貸す 暮れてゆく夜
どこかに落とした記憶を
拾って飾りつけても
やがてはがれて、深い海の底
いつかくる日のことを今、
つかみとれると思ってた
さざめく飴色の光で、風がにじむ
夕凪が君をえらんで
君のいじけなさを愛でて
どこかの家の夕飯がわかってしまった
額をかすめた夜がいま
わたしの頭上に降りてくる
飲み込むことと、さらうことだけの
作業でつかれはてている
いつかみた感じの色が
21時をうつし
きたない川で夢が泳いでいる
永遠に交わらぬ道路
おおきな受話器のような町
速い乗り物にゆられてみとどけている
風は形を失って
まぶたをそっと切り裂いた
人間みたいな神さまの裁量で決まる朝
https://soundcloud.com/user-65813922/demo
星と瞑る
雨は銀色 流れて流れて
やがて光をぬらし こぼれた
時の流れもここでは
裸の皮膚をなでて みなもにとけた
なにもかもが見つめ合うとき
さざめく木々が光る都市になり
秘密を知っている
いつか消えゆくものすら きらめく
だからだれもが 夢にとまどう
君の両手は空のしたにある
こぼれた星をすくいあげるため
さいはて色の海がめくれて
壊れた船は遠い町を見た
関係のない日々
波打ち際 時はかさなる
橙と青 しじまにとけた
https://soundcloud.com/user-65813922/z9lzbjlfwvi4
yurikamome delay
息もできない高速の風が胸をさして死んじゃいそう
何もできないこの靴で 水たまりを越えて
電車に飛びのったはいいけど
外の光 ビルが反射して
安心させてくれないようなときめき
ゆりかもめが遅れてる
今、いま、いま
旅に出たいのに 山がゆるさぬ
ゆりかもめが遅れてる
優雅ななまえついてる 波をゆらしてく電車
風にのって春がくる
ギア変えれない自転車の重み
河を渡り ためいき
先のみえないこの空を飛んでゆくかどうか
ためしてみたくなったんだ
グーグルマップをすててみたなら
高速道路にたどりつくだろう きっと
ゆりかもめが遅れてる
今、いま、いま
旅に出たいのに 道がゆるさぬ
ゆりかもめが遅れてる
優雅ななまえついてる 海を光らせる電車
風にのって春がくる
https://soundcloud.com/user-65813922/yurikamome-delay
natu ga mosi
花がもし 枯れなかったら
夏がもし 終わらなかったら
かなりこわい たぶん有っていい終わり
遠隔 シャボン玉 孤島のような
世界が破滅して
ひとつの星に辿りつく
言葉もなく 過去もない
つめたい土壌 それだけがある
流れ作業のように宥めるアンテナに
絡めとられるのは
かつて 生きた証拠
反復もせず 八方ふさがりの空洞
目があったその日から
うつくしい すべてのもの
https://soundcloud.com/user-65813922/aaaa
夏の思い出song
あいづちうったそばから消えた
あの夏のブラックホール
見つからぬように隠れた記憶
いったいいつになれば戻るのだろう?
波しぶき 風がさらっていった
岩の上にのぼるカニ
知らぬ間にかくれてしまうよ
目を凝らしみつめている水平線
泳ぐひと眺めながら
海の友だちみたいで、うらやましかった
波打ち際できらきらしてる丸くなったガラスびん
地球のような青色に溶かしたひみつは
海が知っているのだろう
車で流れてる『渚にまつわるエトセトラ』
海沿いのマクドナルドで休憩
小さなサンダル 砂だらけ
オレンジの夕日が沈むころ
またここへ会いに来よう
手をとって歩いた日々のこと
日焼けあとみたいに忘れていくのだろう
https://soundcloud.com/user-65813922/song
むらせライス
鍋の中でぐつぐつしている米つぶの光は
君がくれたもの 新潟の米
コートぬいでワクワクしている
炊き上がり、まだかな
ついにやってきた!
弱火にする時
こんな広い世界の中で
めぐり逢えた主食 きみは
ライス 5分 蒸らすことが大事
少なくともうちでは
ライス 5分 蒸らすことが大事
つやめきが ちがうよ
外は雨がしとしと降ってる
田んぼを潤してる
農家の人に感謝をこめてる
こんな狭い鍋の中で
巡り会った穀物 きみは
ライス 5分 蒸らすことが大事
少なくともうちでは
ライス 5分 蒸らすことが大事
つやめきのためだよ
https://soundcloud.com/user-65813922/pac4fctvne0j
ピザパーティー
ピザの宅配みたいなバイクの
後ろにのせて 川沿いを走ろう
ファミマで降ろして お茶を買うから
風がきらきら 君の身体をはじくよ
流れる景色 あの公園をめざそう
バイトのことは忘れて、踊ろう!
今夜だけはパーティー
自由に歌ったり踊ったりできる
ピザの上に集まる具のように しあわせ
ピザの宅配みたいなバイクの
後ろにのせて どこまででも走ろう
https://soundcloud.com/user-65813922/f6xiz5a6ozup